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「社員の『評価』は何のためにあるか」を考える。

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コラム :現場のお悩み相談


 
 
先週、旧知の友人と食事をする機会が2回ありました。
 
どちらの友人(「Aさん」、「Bさん」とします)も、IT企業の人事業務を担っています。
 
Aさん、Bさんどちらも「普段の仕事のこと」が話題の大部分でした。
かつ、ふたりとも仕事に真剣に向き合うタイプでしたので、おかげで私は新しい視点や気付きをいくつも得られ、とても有意義な時間を過ごせました。
 
 
ところが、ある話題になったときに「おや?」と思ったことがありました。
 
私がふと、「社員への評価は、何のためにやっているんですか」という問いを投げかけたときに、2人の回答は全く違うものだったのです。
 
「評価は何のためにあるか」という問いに対して、Aさんは「組織の成果のため」と答え、Bさんは「人の育成(成長)のため」と答えました。
 
Aさんの会社もBさんの会社もともに同じ業種で、組織内の人員や業務の構成もとても似通っており、更にはAさんもBさんもほぼ同年代(アラフォー世代)です。ですので、この「評価」に対する2人の見解の相違には、ちょっとした驚きを感じました。
 
 
 
さて、今回はその「評価は何のためにあるのか」ということについて、お話ししていきたいと思います。
 
──ところで皆さんは、この問いに対してどのようにお考えになりますでしょうか。
 
 
 

1)「評価の目的やありかた」は、多様性がある

 
 
はじめにお伝えしておくこととして、「評価の目的をどう捉え、どう位置付けるか」は、その組織の理念や価値観、目指していきたい将来のありかたによっても異なっていきます。
ですので、先ほどのAさんとBさんの発言に対して「どちらが正しい(適切)か」という議論はここでは行いません。
 
評価のありかたは、そのままその「組織のありかた」にも繋がります。そして、組織のありかたは当然ながらひとつではない──つまり、評価もまた、そのような「多様性」の側面を有していると言えるでしょう。
 
 
一方で、その評価の「多様性」においては、「成果」と「成長」、そして「組織」と「人」といった観点で語られることも多く、以下図のように表わすこともできそうです。
 
 

「評価の目的の位置づけ」のマトリックス

 
 
さきほどのAさんとBさんのケースで言うと、Aさんはやや「組織・成果」寄りのスタンスで、Bさんはやや「人・成長」寄りのスタンスと位置付けられるでしょう。
 
このように「評価の目的・ありかた」をマトリックスで表すと、少し思考の整理が出来た気分になりますよね。
 
ですが、「じゃあここから何が言えるの?」という問題提起を持たれた方も、きっといらっしゃるのではないでしょうか。
 
そこで、続いては評価の「多様性」は別側面の、「(普遍的に扱える)望ましい評価のありかた」についても見ていきましょう。
 
 
 

2)「望ましい評価のありかた」とは、どのようなものか

 
 
「評価は多様性のあるもの」と説明しましたが、それでも評価を行うにあたって「こうしていくことが大切」という普遍的な見地・考え方もいくつか存在します。──ここで言う「普遍的」とは、「(ほぼ)例外なく、多くの企業・団体でそれが『望ましい』と受け入れられるもの」という意味です。
 
── 例えば、以下のA)、B)のふたつの考え方がそれにあたります。
 
 

 
A) 「評価」は、対象者の現状を顕す「鏡」の存在であること
 
B) 評価者が、常に「最適・最良の評価」を目指して思考・行動(対話)できていること
 

 
続いては、上記A)、B)の二点の考え方について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
 
 
 

3)「評価」は、対象者の現状を顕す「鏡」の存在であること

 
 
人は往々にして、「(他者から)適切な評価やフィードバックを受けること」を求める傾向にあります。
 
これは、自身の立ち位置や状態を正確に把握するために、ときに他者からの視点や意見といった「第三者視点」が必要になることからも伺えます。
 
 
余談ですが、アーティエンスが毎年4月に実施する、新社会人に向けた意識調査アンケートの一節「会社の直属の上司に求めるもの」において、「正当な評価をしてくれる」という項目が毎年必ず上位にランクインされます(平均3人に1人がこの項目に票を入れます)。
 
つまりは、新入社員であっても、評価の「適切性」や「正当性」に対する期待や欲求は少なからず持っているということですね。
上長やトレーナーとしての立場になる方々は、新入社員の方々にもそのような要求が存在することを、意識されておくと良いかもしれません。
 
 
話を戻して、「『評価』は、対象者の現状を顕す『鏡』の存在であることが望ましい」と表現される、この「」とはどのような鏡であると良いのでしょうか。 
 
普通の鏡でしたら、「視界で確認できるもの」を映し出せればそれで良いでしょう。ですが、評価でいう「鏡」はもちろんそういう話ではありません。
評価における鏡が「鏡」として機能する為には、評価に携わる人が「何を映し出す鏡か」を考え、定義していくことが大切です。
 
 
例えば、前に出したAさん、Bさんのケースで言えば、以下のように表わすことが出来るでしょう。
 

 
 
ご覧になられて、いかがでしょうか。
 
──つまり、評価における「鏡」とは、その評価の「目的・ありかた」によって、映し出すものは変わってくる(変えていかないといけない)ものなのです。
 
皆さんの組織の「評価の鏡」では、現在何が映し出されているでしょうか。そして、本来はどのようなものを映し出せると良いのでしょうか。──そんな観点で、評価について一度考えてみると良いかもしれませんね。
 
 
 

4)評価者が、常に「最適・最良の評価」を目指して思考・行動(対話)できていること

 
 
人事評価では、よく以下のことが謳われます。
 

 
「完璧な評価」というものは存在しない。
一方で、評価者は常に、最適・最良の評価を目指し続ける必要がある。

 
 
なんともストイックなメッセージ──と感じられた方もいらっしゃることでしょう。
ですが、評価の性質と、その評価が被評価者や組織に与える効果や影響を踏まえると、とても「的を得た見解」であると思います。
 
前述の「評価は対象者の現状を映し出す『鏡』」において、評価者の評価が「鏡」の役割を果たすためには、相応の努力が常に必要となってくるでしょう。
 
求められる鏡のありかたも時代や状況によっても変わってくるでしょうし、鏡に曇りや歪みがあれば、鏡としての役割も果たしにくくなってしまいます。
そのために評価者は、その鏡を磨き続け、ときに試しに映し出し、そこから見えてくるものを確認・吟味していくことが求められます。
 
 
その一方で、評価者が「常に最適・最良の評価を目指し続ける」という行為は、その評価者の「経験」や「成長」、そして被評価者との関係性構築にも繋がります。
 
 
この項で意識するべきポイントは、「評価は対象者の為のものだけではなく、その評価者、ひいては組織にも効果や影響をあたえていくものだ」ということです。
 
 
更には、「評価者の最適・最良の評価を目指す働きかけ」も、「評価の目的・ありかた」の置き方によってそのベクトルは少なからず変わっていきます。
 

 
 
──評価が常に最適・最良なものとして存在し続けるためには、皆さんの組織では、どのような意識や活動をされているでしょうか。
 
「評価の鏡」同様に、これらは普段の私たちの生活上でなかなか意識(言語化)されない領域かもしれません。
 
だからこそ、組織内で「評価のありかたと、そのために意識する(目指す)こと」について定期的に対話される機会は、きっと組織を更なる成長と高みに導くきっかけにもなることでしょう。
 
 
 

まとめ 「評価は何のためにあるか」

 
 
表題に立ち返って、もう一度「評価は何のためにあるか」について触れていきたいと思います。
 
私たちアーティエンスが研修事業を行い、複数の企業様とお付き合いさせていただく中で、現在の組織の多くは評価の目的として「組織と人の両立」、そして「成果よりも成長(または変革)」を意識されているように感じています。
 
 

現代の組織で多くみられる、「評価の目的」の方向性

 
 
なぜこのような傾向がみられているのかというと、以下の2点の理由が推測できます。
 
ひとつは、「世の中の変化、変遷の速度が高まっている」ということです。
 
新しい技術や情報が溢れ、既存の技術・情報が淘汰されることも多くなってきている現代社会において、商品・サービスや事業そのもののライフサイクルも短縮化される傾向が高まっています。
 
つまりは、企業活動として「既存の商品・サービスの品質を更に高めていく」働きかけよりも「(これまでにない、)新しい価値あるモノを企画・発信していく」働きかけが求められる機会が多くなってきているのです。
 
 
新しいものに向けての取り組み・チャレンジの多くは、短期的に成果を出せるものというよりも、中長期的なスパンでトライ&エラーを繰り返しながら、まさに「成長の軌跡をいかに適切かつ効率的に描けるか」が重要となってきます。
 
加えて、企業・組織が評価期間として取り入れている「半年」「1年」の短いスパンでは、成果自体も見えにくくなってきているという点もあるでしょう。
 
それゆえに、評価の際も「成果」より「成長」の観点に重点を置いた方が、組織自体の取り組みともマッチしやすくなっているのです。
 
 
 
もうひとつは、「人々の働き方と、組織のありかたの多様性」が挙げられます。
 
終身雇用制」が影を潜めてきている昨今において、人々の働き方は多様性を増してきています。そしてそれに伴うように、組織もまた、人材に対してどう接していき、「終身雇用に代わるものとして、社員に何をコミットしていくのか」という課題に向き合っていく必要性が高まってきています。
 
 
いわば「組織と人の新しい共存のありかた」は、時代の変遷期である現在において、とても重要なテーマであり、評価の仕組み自体もそれに併せていくことが求められているのです。
 
 
 
ただし、だからと言って、「評価のありかたとして、成果よりも成長の観点が大切で、かつ組織と人の観点を均等に持つことが望ましい」と結論付けるつもりはありません。
 
かりに、現在皆さんの属される組織が評価に対して上記と異なる方針を掲げていたとしても、それは特段不思議なことではないからです。
 
 
前述しました通り、「評価のありかた」は「組織のありかた」と直結します。
そして、そのありかたは組織によって異なって当然のものですし、「何が正しい(最適)か」はその組織内で決めていくほかありません。
 
 
評価に接していく際になによりも大切なことは、「評価のありかた」について常に考え振り返っていけること、そしてそのありかたについて納得し、(ときに軌道修正する機会も持ちながら)組織メンバー間で共有していけることです。
 
 
 
「評価」という言葉を聞くと、私たちはMBO(目標設定制度)や360度評価(マルチサーヴェイ)、コンピテンシー評価といった「仕組み・手段(HOW)」に目が向けられがちです。
 
ですが、前段として評価の「目的・ありかた(WHY)」にも目を向けていかないと、「社員の多くが満足し、価値を感じられる評価」を行うことはきっと出来ないでしょう。
 
 
言ってしまえば、「評価は何のためにあるのか」について考えること自体が、適正な評価を行っていくうえで、最も重要なことなのではないでしょうか。
 
 
 
本記事が、皆様が評価はじめ、組織体制、人事制度のご検討をされる際の参考となることを、心より願っております。
 
 
 
 

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