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今年の新入社員の傾向は──2017年卒新入社員研修(4月)を振り返って

コラム :部下育成・OJTについて


 
 
本日の研修を受けて、自分自身の未熟な点を沢山知ることになり、強い挫折感と不安を感じています
 
 

 
 
2017年4月の新入社員研修を実施した際に、とある受講生(以後「Aさん」とします)から、このような相談を受けました。
 
 
その日の研修は「ビジネス・スタンス研修」。学生から社会人への意識変革を行うべく、社会人として必須となる「顧客満足への働きかけ」、「モラルへの意識」、そして「貢献意識を持つ」ことについて学んでいく研修です。
 
 
さて皆様は、なぜAさんが今回の研修で、ここまで思い悩むことになったと思いますでしょうか?
 
 
 
──実は、Aさんと同様の悩みやストレスを感じられた新入社員の方は、他にも沢山見られました。
 
 
今回は、そんなAさんをはじめとする「新入社員研修を受けられた受講生の方々のご様子」と併せて、「2017年度の新入社員の傾向」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
 

1)2017年度新入社員の、全体の傾向は──

 
 
 
今回(2017年度)、アーティエンスは4月4日~10日の5日間において、全38社の企業様、239名の新入社員の方々に向けて、新入社員研修を実施しました。
 
 
そこでアーティエンスが抱いた「2017年度新入社員の傾向」は、以下の通りです。
 
 

強み(Strength)

  • 素直でまじめ。理解しようという前向きさが強い
     注意されたことに関しては、改善しようとする
     
  • 言われたことを、丁寧にしっかり行う
     メモの量も多く、指導した内容に関しては、確認しながら丁寧に行う
     
  • 周囲との協調性を大切にする
     協力して、物事に取り組む傾向があり、チームワークを大切にする
     
  • 考えることに対して、比較的ポジティブに取り組もうとする姿勢が見られる
     

 
 

弱み(Weakness)

  • 正解・枠組みを求める傾向が強い
     「何が正解だったか」を求め、「自身で正解を創る」という働きかけは弱い
     
  • 失敗やネガティブな評価を恐れ、強く前に出ることはない
     全体発表での挙手は、決まったメンバーになる
     他のメンバーに嫌われると思うと、発言を控える傾向もある
     
  • 世の中の「理不尽さ」をうまく咀嚼できない
     発言は多いが、ふとしたタイミングで愚痴が出ることも何度か見られた
     
  • 社会人として「自分が人からどう見られているか」という認識が、例年よりやや弱め
     

 
 
全体的に、「真面目で真摯に取り組む」、「周囲が満足するアウトプットを心掛ける」という姿勢を持った新入社員の方々が多くいらっしゃったのが印象的でした。
 
ですがその一方では、自身の価値観や考え方の外側にある「新しい・気づき、発見」に向けて積極的に立ち進んでいく姿勢は、例年と比較してもやや少なく(または乏しく)感じられました。
 
 
特に顕著であったのは、「失敗やネガティブな評価を恐れる」という点です。「この領域は自分の苦手分野」と公言する受講生や、グループ内でリーダーシップを執るメンバーに追従の姿勢のままでいる受講生も少なくありませんでした。
 
中には、「(グループワークのときに)あたかも敵同士のように、優劣を競い合うのはどうなのか」ということを相談してきた新入社員の方もいらっしゃいました(※ アーティエンスの研修では、「品質の高いアウトプット」を目指してグループ間で競い合うワークが多く含まれています)。
 
 
冒頭でのAさんが言われた「強い挫折感、不安」についても、「失敗やネガティブな評価を恐れる」傾向が一因としてあったように思われます。
 
 
さて、このような傾向を持つ新入社員の方々の背景には、どのような考え方や価値観があるのでしょうか。

 
 
 

2) 「評価」自体の捉え方がやや即時的であり、かつ「自身の成長」に紐づかれていない

 
 
「君たちへのフィードバックや評価が、何のためにあるか」
 
 

 
 
アーティエンスの4月新入社員研修の3日目の時期に、とある講師が受講生に向けて投げかけた質問です。その講師もまた、自身が受け持つ新入社員の方々が、ワークごとのフィードバックにナーヴァスになりすぎていたり、ワークの重要な場で発言を尻込みしていたりといった状況を懸念していました。
 
 
講師の問いに対して、何人かの新入社員の方々が応えました。そのほとんどは、「自分の出来ていないところ、欠けているところを気付かせるため」であったり、「自分の得意分野・苦手分野を明確にしていくため」といった内容でした。
 
──つまり、その場にいた新入社員にとって、「評価」が持つ概念とは、「自身の現時点について、良いか悪いかが判断されるもの」であり、そしてそれ以上のものではなかったのです。
 
 
講師はその後、こう答えます。
 

 
 
──どれも正しいが、根本的な回答ではない。
 
君たちは、これから今の会社のために、そして自分自身のために成長していかないといけないよね。そして、成長するためには現状の立ち位置をわかっていないといけない。
 
評価やフィードバックは、受けることによって現状の立ち位置を確認することができる。つまり、評価・フィードバックは、【成長する為】にあるんだよ。
 
たしかに、評価・フィードバックはときに目を背けたくなるような辛いものもあるかもしれない。でも、その辛さに執着するのではなく、その先にある成長に、目を向けるべきだ。
 
 

 
 
以降、その講師のクラスにおいては、新入社員の方々の「失敗やネガティブな評価を恐れる」傾向は影を潜めていき、反対に「新しい気づき・発見」に向けて積極的に立ち進んでいく姿勢が強まっていきました。
 
 
 
新入社員に限らず、現代の人々全般に関わる傾向として、「将来への不安感」、「未来へのビジョンが描けない」といったことがよく挙げられます。
評価・フィードバックを「将来の成長」への意識になかなか繋げられずに、あたかも「烙印」であるかのように受け止めてしまう、という新入社員の方々も、それら傾向に起因するところがある様に感じられます。
 
 
では、そのような傾向を持つ新入社員の方々に、私たち先輩社員(または社会人の先輩として)は、どのように接していくと良いのでしょうか。

 
 
 

3) 成長を促進していく、「グロース・マインドセット」を意識すること

 
 
前に述べた新入社員の方々の、「失敗やネガティブな評価を恐れる」意識は、「フィックスト・マインドセット」という表現で説明することができます。
 
 
フィックスト・マインドセットとは、その名の通り「固定した思考」で、以下のような特徴を持ちます。

 

フィックスト・マインドセットの特徴

  • ◇ 正解・枠組みを求める傾向が強い
     
  • ◇ 「人はなかなか変われない」と考える
     
  • ◇ 失敗を恐れる
     
  • 他人からの評価が気になる
     
  • ◇ フィードバックに恐怖感がある
     
  • ◇ すぐに諦めてしまう
     

そして、フィックスト・マインドセットと対極にある意識を、「グロース・マインドセット」と言います。「グロース(Growth)」つまり、成長する思考──、ということですね。

グロース・マインドセットの特徴

  • 〇 「人は変われる」「能力は高められる」と捉える
     
  • 〇 失敗を恐れない
     
  • 〇 ストレッチな目標への挑戦の欲求がある
     
  • 他人からの評価よりも自分の成長を大切にする
     
  • 〇 フィードバックを求める
     
  • 〇 学ぶことが楽しいと思える
     

 
 
ポイントは、人は「グロース・マインドセット」の状態では非常に成長しやすく、逆に「フィックスト・マインドセット」の状態では成長しにくい、ということです。
 
 
そして、どのような分野であれ、成長し活躍し続けている人の殆どは、グロース・マインドセットであると言われています。
 
 

 
 
怖いのは、人はストレスを感じている時、または疲れている(体調の悪い)時に「フィックスト・マインドセット」になりやすいということです。
「知らず知らずのうちに、フィックスト・マインドセットになっていた・・・」ということは、恐らくこれをお読みになられている皆さんも、何度か経験されたことはあるのではないでしょうか。
 
 
フィックスト・マインドセット、グロース・マインドセットどちらに関わらず、人の思考や思想というものは連鎖していくものです。もしかしたら、今年度の新入社員の方々に多く見られたフィックスト・マインドセットは、現代社会全体でも蔓延してきているのかもしれません。
 
 
新入社員を受け入れる私たち自身もまた、「今自分がどちらのマインドセットに寄っているのか」を常に振り返っておくことが大切でしょう。
指導していく際は、常に現状だけではなく「彼・彼女達の成長と、その先の未来」にも視野を広げて行っていくべきです。なぜなら、指導する側がグロース・マインドセットになっていれば、指導される側もまたその影響を強く受けることができるからです。
 
 
グロース・マインドセットは、「意識するだけでも強まっていく」と言われています。そして、その思考は周囲の人々へと伝播していきます。
つまり、新入社員の方々の「弱み」として挙げた「失敗やネガティブな評価を恐れる」傾向を改善する鍵は、彼・彼女たちの周囲にいる人たち──つまり、私たち──が持っているのかもしれませんね。
 
 
皆様が新入社員の方々の育成・指導をされていくうえで、今回の記事が少しでもお役に立てることを、心より願っております。
 
 
 


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